こんにちは、G-CLUB SHIBUYAの渡邉です。
1996年に発表されたエリッククラプトンシグネイチャーモデル000-28ECは、000-28を基にエリッククラプトンの好みのデザインが施されたモデル。
今回はこちらのモデルを紹介します。
000-28ECはレギュラーモデルのマーティンギターでは見られない太目のVシェイプネック他こだわりの仕様によりサウンド面で飛躍的に向上しており、ルックス面でもグッとオールド・マーティンを感じさせてくれる仕様となっております。
バリエーションの少ない000-28にあってECモデルは格別の存在。
中低音が強く響き、000サイズながらしっかりと迫力を持った低音はまさにクラプトンの様なブルーススタイルのピッキングでも安定したベースサウンドを奏でてくれます。
伴奏からソロギターまで何でもこなせそうな魅力のある響きです。
このモデルが特別な理由とは?
戦前より製作が行われてきた非常に長い歴史を持つ銘器000-28。
しかしアコースティックギターの大型化が主流になってゆく中、000サイズは次第に生産本数を減らしていきます。
その000が再びスポットライトを浴びる契機となったのが言わずと知れたエリック・クラプトン1992年の『Unplugged』。
このライブで使用された1939年製の000-42は、ドレッドノートサイズが主流となっていたアコースティックギターの世界に000サイズの魅力的なサウンドと存在感を再確認させ、エレキギタープレイヤーへもアコースティック・ギターの魅力を改めて強烈にアピールした結果となりました。
その影響もあり日本国内でも000サイズMartinの存在が再認識され、注目が集まってきます。
Unpluggedから4年経過した1996年エリッククラプトンの理想の仕様を持った000-28と言える000-28ECが発表され、以来30年近くレギュラーラインナップとして非常に人気の高いモデルとなりました。
000-28ECは近年の小ぶりなアコースティックギター人気の起爆剤とも言える歴史的にも重要なモデルなのです。
デザインと材質について
なによりも一番目を惹くのが、指板最終フレットに刻印されたエリッククラプトンのサイン。
一目でクラプトンシグネイチャーモデルとわかるアイコンとなっています。
より詳細な点ではTOPが飴色に色付いたようなアンティーク・トナー、ヘリンボーン・バインディング&ロゼッタ、スノーフレイクの指板インレイ、ヘッドはオールド・デカールとMartinロゴ入りのシルバーのオープンバックペグが採用されStyle28では見られない艶ありクロスフィニッシュのヘッド・ネックにより手触りが上位の40番台に近いフィーリングになっています。
また、センターのバックストリップがHD-ZigZagになっていて、ヘリンボーンロゼッタと併せてかなり手の込んだ細かい寄木細工を使用していることがわかります。
サイズの特徴
小ぶりな000サイズはくびれの強いボディシェイプにより座って抱えたときの安定感があり薄めのボディ厚により右手の位置が体に近い状態で演奏可能。
また、632.5mmの少し短めの弦長の効果で弦の張りも柔らかく一言でいえば『演奏しやすいモデル』と言えます。
近年では00サイズとともにお部屋で演奏する取り回しの良いボディサイズとしても再認識されており、エリッククラプトンしかり、演奏のしやすさからエレキギタープレイヤーが持つアコースティックギターとしてもオススメのサイズです。
木材の特徴
スプルースのトップとローズウッドのサイドバックのMartinアコースティックギター王道の組み合わせ。
通常の000-28よりもグレードの高い材を使用しています。
また、切り貼り無く一塊のマホガニーブロックから削りだされたネックは現在のアコースティックブランドでも使用していることが少なく、ワンピースのマホガニーを使用することでネックを含めて音の伝達を妨げることなく大きくクリアなサウンドで響いてくれます。
音質と演奏性
Martin 000-28ECの音質の特徴
硬質でいてクリア、がっしりとしたサウンドと艶やかな高音域。弦で生まれた響きを柔軟性のあるスプルースが大きく増幅させ、油分が多く比較的重量あるローズウッドが長く深い残響感をもって共鳴してくれます。
ネック形状スケール等
Vシェイプのネック形状と632.5mmの短めの弦長。000サイズのボディと相まって、抱えたとき握ったときにはじめて感じられる000-28ECの大きな個性です。
サウンドチェック
このモデルでないと得られないクリアかつ太く大きく鳴る印象があります。
優れた楽器の響きには楽器全体の素材や形状・大きさが大きく関わってきますが、その中でも特にネックが与える響きの影響は大きいと感じます。
ハイポジションになるにつれて太くなっていき、そして角度のついたVシェイプのネックだからこそ得られる響きがあり、その響きをボディで効率よく増幅・反響しています。
000-28ECは中高音域の抜けの良さ、クリアさ、繊細さを持ち合わせた特別なモデルと言えます。
※個人的な感想です
スタンダードモデルとの違い
スタンダードモデルとの大きな違いはやはりネックシェイプ。
つつみ隠さず書くと、このシェイプを受け入れられるか否かで000-28ECがあなたに合うかどうかが決まるといっても過言ではありません。
現在ではほとんど000-28ECのみのシェイプとなってしまったModeifiedVシェイプ。
しかし過去にはMarquisシリーズ、GoldenEraシリーズ、Vintageシリーズ等で採用されていたMartinのビンテージスタイルを知る上では欠かせないネック形状です。
握り込むと手のひらになじみ、クラシカルスタイルグリップでは親指の安定感が抜群なこのシェイプは、一度はまると抜け出せなくなる非常に利にかなった形状をしています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
エリッククラプトンの影響からモデル名は聞いたことのある方は多いと思いますが、その反面スタンダードの000-28との違いが分からない方も非常に多くまだまだ世の中にその魅力が伝わっていない優れたモデルの一つかと思います。
まだ触ったことないよ。という方は是非一度クロサワ楽器店にて手に取って試してみてください。
Vシェイプネックと000サイズから得られる素晴らしい弾き心地とサウンドを是非体感してみてください!
Martin 000-28EC
スペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥568,000(2023年5月現在)