マーティンギター サイズによる違いは?D-28・000-28・OM-28で比較

こんにちは、クロサワ楽器店Dr.Soundの松山です。

アコースティックギターにはいろいろな大きさがありますが、どれを選べばいいいのか、それぞれどんな音の違いがあるのか、そもそもなんでこんなに色々な大きさがあるの?

それぞれのサイズには音の特徴はもちろんですが、それぞれの歴史があります。
それを知ることでギター選びの参考になればいいなと思います。

今回は代表的なモデル「D-28」「000-28」「OM-28」を比べながら解説します。

000サイズ、00サイズ、0サイズについてはこちらの記事で紹介しています。
よろしければご覧ください。

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D-28

1934年に14フレットジョイントのD-28が誕生しました。
一番アコギの見た目・大きさとして馴染みがあるドレッドノートサイズです。

ドレッドノートの最初の登場は1916年に楽器店・楽器出版会社のオリヴァーディットソン社から大型ギターの依頼を受けて作ったものです。
第一次世界大戦で使われたイギリスの最強戦艦ドレッドノート号から名前がつけられました。

D-28が誕生した当時、流行していた音楽「ブルーグラス」では音の大きなバンジョーの伴奏をするのにも大型ボディから出る大きな音量は必要なものでした。

時代は流れ、ロックシーン等様々な流行の音楽シーンで使用されましたが、劇的に生産本数が伸びたのは1960年代から70年代「フォークブーム」の時代でした。

D(ドレッドノート)サイズならではの迫力・低音域の豊かさ・きらびやかな高音域。
現在でもシンガーソングライターを始め、多くのミュージシャンに愛用されています。

Martin D-28のスペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
ブレイス シェイプ:ノンスキャロップ
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥450,000(2023年6月現在)

000-28

000-28は1902年に誕生しました。
当時は12フレットジョイントのタイプでクラシックギターのような見た目をしていましたが、1934年に14フレットジョイントが登場しました。

19世紀後半、カントリー・ブルースが広がる時代に一際大きなサイズのギターということで有名でした。
しかし、ドレッドノートが登場したことで、その人気に押され生産が減少。
一時はオーダーのみ販売になったこともあるようです。
時代は流れ1980年代、フォークブームも下火になりシンセポップが流行りはじめ、アコースティックギター自体の生産が落ち込んでいきました。

しかし、そんな中転機が訪れたのは1992年
MTVアンプラグドでエリック・クラプトンの回を収録したアルバム『アンプラグド〜アコースティック・クラプトン』が大ヒットしました。
1989年に放送を開始したMTVアンプラグド、番組自体もこのヒットで知名度を上げたのですが、そのときにエリック・クラプトンが使用していたギターが1939年製の000-42でした。
これがきっかけとなり000-28をはじめ000サイズのギターが再び脚光を浴びることになりました。
この流れからも分かる通り「ブルース」色が強い歴史を持つギターです。

スケール(弦長)がドレッドノートに比べ少し短くなっていること。
ボディサイズが表面積・厚さともにドレッドノートに比べ小さいこと。
これによりドレッドノートのような迫力・低音は抑えられますが、バランスの良さ、レスポンスの良さ、張りが減ったジャリンとした響き、そして抱えやすさが特徴的です。

ブルース色が強いと言っても普通にポップミュージックなど様々なジャンルで使われいますし、なにより抱えやすいので、女性ミュージシャンや肩が上がらなくなってきた年齢の方…など幅広く愛用されています。

Martin 000-28のスペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
ブレイス シェイプ:スキャロップド
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥480,000(2023年6月現在)

OM-28

OM-28は1929年に登場したギターです。
当時、ギターが流行するにつれテクニカルなプレイをするミュージシャンが増えてきました。
バンジョープレーヤーのペリー・ベクテルもそんなプレーヤーのひとりで、彼はマーティンギターへバンジョーみたいに弾けるギターを作って欲しいとオーダーをしました。

バンジョー

当時のマーティンギターは000-28の項目でも説明したとおり12フレットジョイントで指板の幅(ナット幅)も広かったのです。

そうして作られたギターが14フレットジョイントで指板の幅が狭いOM-28でした。
指板の幅が狭いと言っても、現行品で採用されている幅とほぼ同じです。

登場当時はバンジョーペグを採用しており、他のモデルで付いていなかったピックガードも付きました。

OM-18GE

その後、1933年には一旦生産が終わります。
売れなかったからと言うわけではなく、14フレットジョイントの仕様が標準化される中で生産完了になったようです。

000サイズとOMサイズはスケール(弦長)の長さに違いがあります。
000サイズは632.5mm、OMサイズは645.2mmです。
ちなみにドレッドノートも645.2mmです。
その他にもブレイシングの違いやピックガードの違いがあります。
ボディサイズは同じですので抱えやすく、ドレッドノートのような張りのあるサウンドが特徴的です。

そんなOMサイズ歴史からテクニカルなプレイをするプレーヤーに特に好まれているように思います。
テクニカルなプレイとして有名なジョン・メイヤーのシグネチャーモデルOMJMもOMサイズですね。
テンション感がありますので、ドロップチューニングにも使いやすいです。

テクニカルなプレイをしたいという方だけでなく、ドレッドノートのテンション感はほしいけどサイズは小さい方がいいという人も多いです(女性ミュージシャンや肩が上がらなくなってきた年齢の方…など)。

000サイズよりも張りのある音が好みの方にオススメです。

Martin OM-28のスペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
ブレイス シェイプ:スキャロップド
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥480,000(2023年6月現在)

まとめ

いかがだったでしょうか?
結局弾いてみるのが一番なのですが、それぞれの時代背景を知ることで少しでもギター選びの参考になれば幸いです。

もちろん店頭ではそれぞれ試奏も出来ます(在庫確認していただけると確実です)。
ご来店・お問い合わせお待ちしています。

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