お世話になっております。クロサワ楽器名古屋店の寺本(てらもと)です。
突然ですが、皆様は今どんなサイズのアコギをお持ちでしょうか。
Martinギターには様々なサイズのモデルが存在しておりますが、今回はその中でも小ぶりなモデルを中心にご紹介したいと思います。
ドレッドノート、000、OMの違いはこちらの記事をご覧ください。
Martinギターのサイズの概要
まず初めに、ご存じの方も多いかと思いますが、Martinのギターのモデル名にはボディサイズが表記されており、例として同じ28Styleでも「D-28」であればドレッドノートサイズ、「000-28」であれば000(トリプルオー)サイズということが分かります。
では、次にこの「000」とは何に由来しているのか、0ふたつの「00」と何が違うのかという点について掘り下げていくと、そこにはMartinギターの歴史に紐づいた理由があるのです。
ドイツから移住しMartin最初の拠点となったニューヨークでは、かつての地で学んだ製作技術を生かした小ぶりな欧州中部スタイルのギター製作からスタートしました。
その後、ボディサイズを1,2,など数字で表記するようになり(数字が小さいほどボディが大きい)、その中でも最も大きなサイズとして誕生したのが「0」(シングルオー)になります。
しかし、現行品の中で「0」はかなり小ぶりなモデルですよね?
もっと大きなモデルを製作したら「0」以下の数字はないし、モデル名はどうしましょう?
ということで、次に誕生したのが0を一つ増やした「00」(ダブルオー)、そしてさらに大きな「000」(トリプルオー)が生み出されていきました。
これらは1850年代~1900年代の話であり、今なおその姿を大きく変えることなく製作されているギターこそがMartinの伝統と歴史を物語っております。
前置きが長くなってしまいましたが、さっそくそれぞれのサイズの特徴に注目していきましょう。
000サイズの特徴
今回ご紹介させて頂く3つのサイズの中では最も大きく、定番のサイズと言えるでしょう。
ボディの最大幅は15インチ(381mm)、ボディ厚は4 1/8インチ(105mm)となっており、他の楽器とのアンサンブルでも埋もれないことを意識して製作されたこのサイズは、音量バランスに優れております。
特に比較されることの多いドレッドノートサイズに比べ、低音から高音弦までの粒立ちが揃っており、632mmのショートスケール(ドレッドノートは645mm)は程よいテンション感と弦の押さえやすさが感じられます。
大音量でかき鳴らすというよりは、じっくりとアコギの奥深い鳴りを味わいたい方におススメです。
000サイズの主なラインナップ
シリーズ | モデル | トップ材 | サイド&バック材 | 税込み価格 |
X Series | 000-X2E-01 | スプルース単板 | HPL | ¥105,000 |
Road Series | 000-10E | サペリ単板 | サペリ単板 | ¥146,000 |
Road Series | 000-12E Koa | スプルース単板 | コア | ¥195,000 |
15 Series | 000-15M | マホガニー単板 | マホガニー単板 | ¥278,000 |
15 Series | 000-15M Street Master | マホガニー単板 | マホガニー単板 | ¥295,000 |
16 Series | 000-16 Street Master | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥299,000 |
17 Series | 000-17 Whiskey Sunset | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥260,000 |
17 Series | 000-17E Black Smoke | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥289,000 |
Standard Series | 000-18 Standard | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥420,000 |
Standard Series | 000-28 Standard | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥480,000 |
Signature Edition | 000-28 Brooke Ligertwood | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥538,000 |
Signature Edition | 000-28EC | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥568,000 |
Modern Deluxe Series | 000-18 Modern Deluxe | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥610,000 |
Modern Deluxe Series | 000-28 Modern Deluxe | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥710,000 |
Standard Series | 000-42 Standard | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥910,000 |
Modern Deluxe Series | 000-42 Modern Deluxe | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥1,190,000 |
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00サイズの特徴
このサイズが初登場したの1870年代前半で、「0」と「000」の間に生まれたサイズということもあり、それぞれの利点を持っております。
ボディの最大幅14 5/16インチ(364mm)、ボディ厚は4 1/8インチ(105mm)、この数値は現代の標準的なクラシックギターのサイズに近く体にも馴染みやすいため、座って演奏する際にも最適です。
また、000サイズとボディ厚は同じですが幅がやや狭くなることで、レスポンスが良く出音にキレの良さが生まれます。
ピックでのストロークや、フィンガースタイルなど、どちらのスタイルでもマッチするのがこのボディの魅力でしょう。
00サイズの主なラインナップ
シリーズ | モデル | トップ材 | サイド&バック材 | 税込価格 |
X Series | 00-X2E-01 | スプルース単板 | HPL | ¥105,000 |
15 Series | 00-15M | マホガニー単板 | マホガニー単板 | ¥278,000 |
Standard Series | 00-18 | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥420,000 |
Standard Series | 00-28 Standard | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥480,000 |
Modern Deluxe Series | 00-28 Modern Deluxe | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥710,000 |
Modern Deluxe Series | 0012-28 Modern Deluxe | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥740,000 |
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0サイズの特徴
今回紹介する3つの中では最も小さく、ボディの最大幅13 1/2インチ(343mm)とコンパクトなサイズですが、000や00サイズよりもボディ厚が1/8インチ厚くなっております。
※左が00-18、右が0-18
これによって箱鳴りに奥行きが生まれ、上記の2つとは系統が少し異なった独自の響きが感じられるところがこのサイズの特徴です。
抱えやすさで選ぶのももちろんおススメですが、このサイズが登場した1850年代にルーツを辿ってオールドライクなサウンドをお求めの方にもピッタリなサイズとなっております。
0サイズの主なラインナップ
シリーズ | モデル | トップ材 | サイド&バック材 | 税込価格 |
X Series | 0-X1E-01 | HPL | HPL | ¥98,000 |
Standard Series | 0-18 | スプルース単板 | マホガニー単板 | ¥420,000 |
Modern Deluxe Series | 012-28 Modern Deluxe | スプルース単板 | ローズウッド単板 | ¥740,000 |
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サイズ選びのポイント
上記の通りそれぞれのサイズがそれぞれのサウンド特性を持っております。
また、その特性に加えて使用する木材との相性もサイズごとに異なります。
これを踏まえて、改めてどのような音色が好みなのか、また自分のプレイスタイルにはどのボディサイズが合っているのかを再確認するような形で店頭でのお試しも頂けると幸いです。
まとめ
今回ご紹介したボディサイズは、価格帯に関係なくMartinギターに共通した仕様となっております。
これからギターを始める方も、既にお持ちの方も、定番のサイズだけでなく様々なボディサイズに触れてその違いを体感してみてください。
ドレッドノートサイズ、000サイズ、OMサイズについてはこちらの記事で紹介しています。
よろしければご覧ください。