いいアコースティックギターが欲しいと思ったときMartin D-28を候補に上げる方は多いと思います。
D-28を探し始めるとHD-28というモデルがもう少し高い値段で売られていることに気がつきます。
皆さまからよく「この2機種何が違うの?」「どっちの方がいい音なの?」という質問をいただきます。
ということで、今回はD-28とHD-28の違いを解説していきます。
また、2017年と2018年にそれぞれ仕様変更がありましたが、それについても書いていきます。
仕様の違い
D-28とHD-28の違いですが、木材の種類など殆どの仕様は同じ。
どちらもトップ材はスプルース、サイドバック材はローズウッドです。
大きな違いは下記表のとおりです。
D-28 | HD-28 | |
---|---|---|
トップ・インレイ・マテリアル | マルチ・ストライプ | ボールド・ヘリンボーン |
フィンガーボード・インレイ・スタイル | ラージ・ドット | ダイヤモンド・インレイ |
ブレイス・シェイプ | ノン・スキャロップ | スキャロップ |
メーカー希望小売価格(税込) | ¥450,000 | ¥480,000 |
トップ・インレイ・マテリアル
1947年まではヘリンボーントリムでした。
HD-28はその仕様を復刻しています。
ヘリンボーンはニシンの骨という意味を持っていて、ファッション関係・建築関係など幅広く使われているデザインです。
フィンガーボード・インレイ・スタイル
1944年まではダイヤモンド・インレイが使われていました。
HD-28はその仕様を復刻しています。
使用されている素材も違い、D-28はマザー・オブ・パール(白蝶貝)、HD-28はアバロン(アワビ)です。
ブレイス・シェイプ
1944年まではスキャロップド・ブレイシングが採用されていました。
HD-28はその仕様を復刻しています。
ブレイシングは年式によって何度か変わっています。
現在ではほぼ使用されることがないヘビーゲージの弦への対策だったりとかで丈夫にしたり、戻したりと様々な変化があります。
2017年仕様変更後のD-28
2017年以降、D-28のブレイシングの位置がフォアード・シフテッドになりました。
これはXブレイシングの位置をサウンドホール側に近づけた仕様変更で、1938年まで採用されていた仕様です。
戦前の復刻モデルなどでよく採用されていた仕様ですが、2017年の仕様変更でスタンダードモデルに採用されるようになりました。
これによってより低音の迫力が増しました。
また、ノンスキャロップならではの無骨さは魅力的でガシガシとしたコードストロークも気持ちよく弾けます。
Martin D-28のスペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
ブレイス シェイプ:ノンスキャロップ
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥450,000(2023年7月現在)
2018年仕様変更後のHD-28
HD-28は1976年に製造が開始されました。
戦前D-28の復刻として登場し現在まで非常に人気の高いモデルとして作られ続けています。
D-28から1年遅れてHD-28も仕様変更が行われ、こちらもD-28と同様にブレイシングの位置がフォアード・シフテッドになりました。
それによってフォアード・シフテッド・ブレイシングとスキャロップド・ブレイシングのどちらも採用されたモデルになったわけですが、本来この仕様が戦前の復刻モデルとして採用されることが多かったのです。
2018年のHD-28仕様変更とほぼ同時にHD-28Vというモデルが生産完了となりました。
ヴィンテージシリーズといって戦前の復刻をしていたシリーズのギターです。
実はこのHD-28Vで採用されていた仕様がフォアード・シフテッド・ブレイシングとスキャロップド・ブレイシングのどちらも採用されたものでした。
ネックシェイプやサドルの形状など現行のHD-28と違う部分はありますが、HD-28とHD-28Vはかなり近いモデルになりました。
スキャロップド・ブレイシングならではの音抜けの良さを感じることが出来ます。
1音1音の粒立ちもきれいで爪弾くような感じでも気持ちよく響いてくれます。
Martin HD-28のスペック
トップ板材 :スプルース単板
サイド板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
バック板材 :イースト・インディアン・ローズウッド単板
ブレイス シェイプ:スキャロップド
付属品 :ハードケース, 保証書
税込販売価格 ¥480,000(2023年7月現在)
まとめ
いかがだったでしょうか?
お値段的にはHD-28の方が高いので、HD-28の方がいいものなのでは?とよく聞かれますが、どっちのほうがいいかは好みの部分が大きいと思います。
当店Dr.Soundで弾き比べや相談も承りますのでぜひご来店・ご相談いただければと思います。