こんにちは!
伊藤です。
以前、Facebookページに、名工マルセロ・バルベロ・イーホについて、調べてみたことを掲載させて頂きました。
Facebookですと、せっかく調べて書いたことも、探すのが大変になってしまいますので、改めて、こちらに掲載させて頂きます。
ちょっと長いですが、ご容赦下さい。
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スペインの名工マルセロ・バルベロ・イーホ(1943-2005)は、これもスペインの名工であるマルセロ・バルベロ(1904-1956)の息子です。
マドリッドの正統派を受け継いだとされる名工です。
父であるマルセロ・バルベロは、ホセ・ラミレス2世(1885-1957)の弟子でしたが、スペインの伝説的名工サントス・エルナンデス(1873-1942)の死後、サントスの未亡人に工房受け継ぐことを申し出て、製作活動を行っていました。
マルセロ・バルベロとサントス・エルナンデスの間には実際には師弟関係や面識もなかったようで、ギター製作技術についてはマドリッドのラミレス工房での修行で身に付けたようです。
マルセロ・バルベロが亡くなった当時、息子のバルベロ・イーホはまだ13歳でしたが、父の弟子であるアルカンヘル・フェルナンデス(1931- )は師匠の息子であるバルベロ・イーホを手塩にかけて育てました。
当初はラミレスの工房に弟子入りして修業し、17歳頃には既に一人前の製作技術を習得していたそうです。
その後、1960年代初頭頃よりアルカンヘルの工房に入り、一流の製作家として認められるように成長してからもずっとアルカンヘルの工房で製作活動を行っていましたが、2005年に肝硬変のため62歳の若さで亡くなられました。
マルセロ・バルベロ・イーホの楽器のラベルは、アルカンヘル工房のラベルのものと、バルベロ・イーホのオリジナルのラベルのものが見受けられます。アルカンヘル工房のラベルのものには、PARA CASA ARCANGEL FERNANDEZという記載のラベルの上部にMARCERO BARBERO(HIJO)と記載されているラベルになっています。オリジナルラベルのほうがすっきりしたデザインですが、どちらのラベルにもJesus y Maria 26 と工房の所在表記が入っています。
バルベロ・イーホの楽器は、いろいろな点で繊細な楽器という印象です。音色も繊細で美しく芸術性の高い気品のある音色であるとともに、湿度や気温の変化にも敏感に反応して、それらの環境によっても響きもまったく変わってくる印象です。以前、しばらく弾かれてなかった状態で入荷した時は、最初のうちはまったく鳴らなかったのですが、数日間少しずつ鳴らしていくと、ある日突然、驚くほどの美しさで、空間中に美しく響き渡るようになったことを覚えています。
現代ギター社様の刊行されている「愛器を語る」の1巻では、ギタリスト渋谷環さんがマルセロ・バルベロ・イーホを愛器として紹介されていて、そこではバルベロ・イーホとアルカンヘルのやりとりなど、とても面白いですので、そちらも是非読んでみて下さい。
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現在、お店にマルセロ・バルベロ・イーホの楽器は在庫として1本ございます。
(売り切れました)
1980年製のアルカンヘル工房ラベルのものです。
そして、試奏動画はこちらです。