弦の素材について

楽器店の店内に立ち、目の前に広がる無数のギター弦の壁を見つめている場面を想像してみてください。そろそろアコースティックギターの弦を張り替える時期だとわかっていて、どれを選べばいいか迷っているところです。もし、ギターに最初から張られていた弦の音が気に入っていて、それが何の弦かもわかっているなら、あなたは運がいいです。でも、そうでないなら…少し「自己探求」が必要かもしれません。いえ、「弦探し」の必要がある、ということですね。どちらにせよ、私たちはそんなあなたのために、最も人気のある2つの選択肢についてご案内します。
弦選びで最もよく聞かれる質問のひとつが、「92/8 フォスファー・ブロンズと 80/20 ブロンズの違いは何ですか?」というものです。
その違いを意識して聴かない限り、判別は簡単ではないかもしれませんが、確かにこの2種類の弦には微妙な違いがあります。ここではMartinの弦に関して、そのニュアンスの違いを説明していきますが、まずは「92/8」や「80/20」という数字が何を意味するのかに触れておきましょう。
92/8フォスファー・ブロンズは、弦の素材の92%が銅で、8%がリン化スズで構成されています。
80/20ブロンズは、弦の素材の80%が銅、20%が亜鉛で構成されています。
……まあ、これだけではあまり参考にならないかもしれませんが、いつかクイズ番組に出たときに役立つかもしれませんよね?
さて、ここからが本題です。この素材の割合や金属の組み合わせが、実際にギターに張ったときにどのように音に影響するのでしょうか?

92/8フォスファー・ブロンズ弦は、80/20ブロンズ弦と比べて、より複雑なサウンドを生み出します。つまり、高音域において複雑な倍音がより豊かに感じられるということです。92/8 フォスファー・ブロンズは、箱から出したばかりの状態でもクリアでバランスの取れた音を出し、そのサウンドは弦の寿命を通じて持続します。この素材の弦は、さまざまな音楽スタイルに適しているため非常に人気があり、実際に当社でも最も売れている弦素材です。

一方で、80/20 ブロンズ弦は、高域の倍音があまり複雑ではありません。張った直後は非常にブライトでパンチのあるサウンドを得られますが、その明るさは比較的早く落ち着いてきます。弾き始めは鋭くはっきりしたアタックが欲しいけれど、演奏を重ねる中で全体的に落ち着いた音になってほしいという方には、80/20 弦が向いているかもしれません。
ブルーグラスを演奏するプレイヤーが 80/20 弦を好むことが多いのもそのためです。ブルーグラスバンドは構成が大きく、楽器の数も多いため、ギターが他の楽器の音を邪魔せず、うまくミックスに馴染む必要があります。また、80/20 ブロンズ弦は、音域全体および弦の寿命を通して、ややウォームな音色を持つ傾向もあります。
音やトーンに関しては、好みは人それぞれです。両方の素材を実際に試してみて、ご自身のプレイスタイルや好きな音楽に最適なものを見つけることをおすすめします。