7月26日、クロサワ楽器名古屋店にて村松拓(Nothing's Carved In Stone/ ABSTRACT MASH)による【Plemium Guitar Clinic】が開催された。
今回のイベントは、村松氏が愛用するMartinブランドのギターを弾き比べながら、その音色の違い・扱い方や自身がギターに求めるものを解説するクリニック形式。
事前に黒澤楽器名古屋店のMartin在庫、およそ200本の中から3本をセレクトし、当日は自身の愛用するモデル「00-16DBM」と合わせて4機種が使用された。
終始、村松氏が参加者を気遣う様子が見られ、クリニックは和やかな雰囲気で進み、氏の音楽ルーツやボーカルに関する質問なども飛び交い、ファンには堪らない機会となった。
※Martin
世界で最も有名なアコースティック・ギター・メーカー。
1833年創業と非常に長い歴史を持ち、今日のアコースティックギターの土台となる構造を築き上げた一大ブランドである。
業界きっての優れた製作技術や膨大なデータ・知識のもとに生み出される製品は、ブランド誕生から今日まで世界中の人々を魅了し続けている。
特設ステージの前には大勢のオーディエンスが詰めかけ、司会者の紹介で村松氏が登場すると客席から歓声が上がった。 「来てくださってありがとうございます。今回はクリニックですが、リラックスして楽しんでいってください」と挨拶し、まずは「GP-18E」を使って「Isolation」を披露。 「GP-18E」は自身も所有し、最近の弾き語りで愛用しているモデルだ。
※GP-18E
くびれが強く、厚みもしっかりとあるボディシェイプが特徴。
ボディー材はスプルース(松)トップ、マホガニーサイド&バック。
Fishman社の高性能ピックアップMatrix VT Enhanceを搭載したエレアコ仕様。
演奏後は実演を交えながら、「俺はマホガニーの音が好きなんですよ。中でもこれ(GP-18E)は、ガッと強く弾いた時にも音がつぶれずにいてくれる。だからIsolationのリフとも相性が良い。マホガニーの鳴りとトップ(表板)が上手く共鳴してくれている印象ですね」とコメント。
続く2本目では、オールマホガニー仕様のモデル「00-15M」を使って「青の雫」を演奏した。 「00-15M」は氏の愛用する「00-16DBM」と同様、トップ、サイド&バック材にマホガニーを使用したモデルだ。 自身の愛機、00-16DBMを指差しながら、「こいつにかなり近い。大好きな音色です。でも、より素朴感が強くて哀愁漂う印象ですね。青の雫と上手くマッチしてくれました」とコメント。
ここでは質問コーナーが設けられ、参加者から多くの質問が飛び交った。 ボーカル&ギターでバンドのフロントマンを務めている村松氏。 意外にもギターを始めたきっかけは、ギターヒーローへの憧れからではなく、ブルーハーツのボーカリストに憧れたことからだったという。 最初に手にしたギターはFender Japanの赤いテレキャスター。トーク中にステージ脇から突如姿を現した、同じく日本製Fenderの赤いテレキャスターを抱えながら入手した当時のエピソードを笑顔で語った。
ユニークなモデル「000-17E Whiskey Sunset」を3本目に迎え、披露したのは「シナプスの砂浜」。
武道館公演では、相棒「00-16DBM」で弾き語った名曲を「000-17E」が支える。
「面白いですね。粘りがありますが煌びやかさも感じます。ただ、、音が若い。。う~~ん。持って帰って弾いていいですか??」
と冗談を交えながら解説し、会場は笑い声と和やかな雰囲気に包まれた。
「000-17E」は1本目に演奏した「GP-18E」と同様の木材を使用している。木材と音色の関係については、
「ギターって面白いんですよ。同じ木材を使ったとしても音色が全然違う。さらには弾き込んでいく事でその人の音になる。ギターって一緒に成長していく事が出来る楽器なんですよ」と、ギターの魅力も交えた説明がなされ、普段ギターを弾かない方にも分かりやすい解説・トーク内容であった(私を含めその場にいたスタッフの心境は感謝感激で溢れていました)。
最後の質問コーナーも、挙手の手が止むことは無かった。
クリニックらしく飛び出したアルペジオの指使いに関する質問では、愛機「00-16DBM」を(最後列でも見えるように)縦に構えて解説。
「アルペジオは、まず親指・人差し指・中指の3本を使って練習すると良いですね。こんな風に...」と「華やぐ街に向かう君」を爪弾き、
指使いのコツやリズムのノリ方の解説がなされ、あわせて相棒「00-16DBM」との出会いや曲作りのエピソードも語られた。
愛機を奏でた刹那に漏れた、「いやあ、落ち着く」の声に会場全体が頷き納得した場面は特に印象深い。
「歌声の周りを綺麗にコーティングしてくれて気持ち良いんですよ。声とギターの音色が1つの塊になるイメージ」と愛機の魅力を語った。
まるで少年のように目を輝かせながら、ギター愛・Martin愛を語った村松氏。 最後は愛機と共に「朱い群青」を披露すると、美しいメロディと感動的な雰囲気が会場いっぱいに広がった。
クロサワ楽器名古屋店Martinアコースティックギター在庫一覧を見る