日野"JINO"賢二氏 独占スペシャルインタビュー

日野"JINO"賢二
東京生まれニューヨーク育ち。
ニューヨーク郊外の音楽専門ハイスクールを卒業後、マーカス・ミラーやジャコ・パストリアスなどのミュージシャンとセッションを重ねる。2003年帰国。
MISIAやAI、Def Techなど数多くのアーティストのライブサポートや、アレンジャーやプロデューサーとしてBoyz II Men、西野カナなど数々のレコーディング・ワークスで活動している。
インタビュアー:井村麻美(VacAgency)
-まず…突然なんですが、なぜ「JINO」さんなんですか?由来は??
どうしてJINOなのか?ってこと?
名前が日野賢二でしょ?アメリカで育ったから…小中高大。
アメリカではみんな俺の名前「ケンジ ヒーノ」だから。イタリア人の友だちたちが「ヘイ!ケンジーノ!ケンジーノ!ジーノ!」それが短くなって「ジーノ」になっちゃったワケ。
イタリア人がみんなジーノっていうから。
-かっこいいですね!
ありがと(笑)
-ではまず…楽器を始めたきっかけはどんなきっかけですか?
楽器を始めたのは…ベースですか?(笑)
-はい。(笑)
ベースの前にドラムと、ピアノとトランペットをやっていて。
そん時ベースを弾いた時に、みんなが「ベースが一番合うんじゃないか?」と言ってくれて、で、学校で高校の時にベースを始めました。
-高校生でやっとベースを?
ええ。ちょうど兄貴がベースを手に入れたんですよ。で、ちょっと見せてって遊んでたら。取り合いっこしながら。
ベースっていうのは…エレクトリックベースってやっぱり、バイオリンや管楽器と違って、基礎とかそういうのがいらないじゃないですか?
パッと買って、パッて入れて、この曲知ってるからこれをやろうっていうのが、すごく学ぶのが早い楽器と思います。
-確かにそうですね。いろいろな楽器をしてきて、ベースを始めたわけですけど、それでも新しい楽器ですしどこかでつまづくこともあるかと思うんですが…
もちろん!だってベース好きになって、いろんな、ねえ、ヒーロー達を観に行って、どうやってああいう風にやるんだろう?って、ねぇ、それを学ぶにはやっぱり、いろんな研究したりさ。
今の時代と違ってYouTubeとかなかったじゃないですか?(笑)
今はそういうのがあるから、もっと早く学べると思うんですよ。
でも昔の時代はやっぱり、レコードを何回も聴いたり、カセットテープを何回も聴いて、これかな?これかな?こうかな?ってやってて…
で、実際その…ねぇ、LIVEを観に行って、あ、こうやってやるんだっつって、ちょっとお家帰ってサーッと観てこうだったんだってやれば、昨日よりも上手くなったから、昨日よりもその、なんていうの?閃いてわかったじゃない?
あ、こうやればいいんだっていうの。
それはねやっぱり、みんなミュージシャンっていうかベーシストは絶対にこう、自分で練習してても、LIVEを観に行って、そう人が演ってるとこを観たらもっと早く…近道ですよね。
-克服方法は実際にLIVEを観て研究することですね?では、ベースを始めて一番楽しかったことは??
やっぱり演ってて…ね、バンドで。
お客さんたちが楽しい感じとか、踊り始めたりしたら、「あ、これいいんだ、これ演ってればいいんだ」って感じますね。

「辞めた~い」って思ったけど
やっぱり頑張って「乗り越えないとな」って。

-お客さんの反応が一番楽しい、嬉しいってことですね。では、演っていくうちに正直やめてやろうと思ったことは…?
もうもちろん、やっぱりそれは巧い人見るたんびにそう思います。(笑)
そのまあ、スゲ~巧いな、全然ダメだって。(笑)
でもそれって一生音楽家って、ミュージシャンって一生そうやってず~っといければ、去年よりもこう、こういうのができるようになったって、そういう風に思ったら自信が出るじゃないですか?
自信があればみんなに優しくなれるじゃないですか?
えっと…成長したっていうの。
それで、難しかったのが余裕になってくるじゃないですか?
どんどんそういう風になっていくはずだから、それをやっていれば絶対に…
「辞めた~い」って思ったけどやっぱり頑張って「乗り越えないとな」って。
-ではたくさん乗り越えてこられて…だいぶ強くなられましたか?
はい(笑)
-では…そうですね。ベースを続けてきて手に入れたものってありますか?
ええ。もちろん
ずっと音楽やってるから、10代からね。ずっとやり続けてその中でいろんな人生にプラスになるものをいっぱい学びました。
早道はダメだよ。ベースで嘘、言い訳をしちゃダメだよ。
ちゃんとやろう、ちゃんと勉強しよう、ちゃんと練習しよう。
でも、真面目すぎたらまたダメだから、真面目すぎず、パッて弾いて真面目に弾く人と…やっぱりイマジネーション?
絵を見に行ったりとか、本を読んだりとか、感動するものをいっぱい自分の中に入れれば、それが出てくるから。
それを演るためにはなんていうの??
愛ですよね(笑)自分が楽器大好きだから、音楽が大好きだから。
そこがなんか繋がっていると思いますよ。
-「大好き」が全ての原動力といった感じですね。
はい、そうですね~。

リズムが強ければ何演っても、誰とでもどこでも、
どの国行っても、言葉通じなくても楽器持って会話できる

-では、これから始める方に何かひとこといただけたりしますか?
そうねぇ、やっぱり人生ってこう、生まれてきてパッて楽器持って、ブワ~って上手くなるもんじゃないから(笑)
-そうですね。(笑)
でもそういう風になりたい人っていろんな研究して、いろんな音楽を聴いて、いろんな楽器を聴いた方がいい。
ベースだけコピーするんじゃなくて、歌えたら歌う。
歌えなかったらベースでメロディーをとる。
ベースラインだけは33%だと思うのね。もう一つの33%は一番大事なメロディー、歌、管楽器があって、そのバックで…。
だからメロディーを勉強することと、ベースラインはもちろん。それとコード。
コードがわかればなんの音を使えるかってなるから。
それと一番あともうひとつ大事なのがリズム。
リズムが強ければ何演っても、誰とでもどこでも、どの国でどこ行っても、言葉通じなくても楽器持って会話できるもんだから。
リズムが強い人が、一番みんな演りたがると思う。一緒に演りたいってなる。
-確かにそうですね。リズムが取れないことにはノれないですもんね。
ね!ノれないから!!
どんな音楽でもちゃんとリズムはあるから。で、みんなリズムは持ってるから。
だからみんな、カラオケで踊って歌いながら。
なんか音楽聴いて踊り始める…踊るっていうこともリズムだから。全部リズムだから。
走ってるときのリズムも同じだから。泳いでるのも。
全部それが楽器と同じなんですよ。
-なるほど。確かにそうですね。では、今までたくさんいろんなことにチャレンジされてきていますが、これから更にチャレンジしたいことってありますか?
ああ…やっぱり、できないことを乗り越えていきたい。
うん。エレベなんですけど、ピアノトリオとかギタージャズトリオとかいっぱいやってるんで、でもポップもロックもファンクもヒップホップもレゲエもソウルも全部やるから。ジャンルは。
だからそれを全部できるんですけど、もっともっと心から、一緒に感動する音をさせれるようになったら、もっといいなと思います。
-探究心が止まらないですね。
そうそう。

料理も大好きだし、フレンチ、イタリアン、
和食、中華料理…なんでも作りますよ。

-どんどん勉強して、どんどんチャレンジして。趣味もベースという感じですね。音楽以外に他に趣味とかってありますか?逆にする時間とかありますか?(笑)
もういろいろありますよ(笑)
料理も大好きだし、フレンチ、イタリアン、和食、中華料理…なんでも作りますよ。グルメはなんでもしますよ。
-凝りそう!(笑)
料理大好きなんで。
ヨーロッパとアメリカにも住んでたから、いろいろ、ミュージシャンとしてはいろんな、いつも打ち上げで美味しいところ連れて行ってくれるじゃない?
あと、昔いろんなライブハウスでやって、キッチンがあるから、「すごいな。作り方、これどうやって作ってるんだろう?」って行って見て勉強してました(笑)
-そこでもまた「見て勉強」が。(笑)
そうそう、勉強ですよ(笑)
ああ、家でも作んないと、材料揃えてっつって(笑)
-じゃあ、全部その料理も見様見真似で作ってるところあるんですか?
そうですよ。やっぱり料理って音楽と同じでタイミングじゃない?
入れるタイミングと、あと一口食べて「これ全部余裕で食べれるな」って思うようになるにはあまり濃厚すぎてもよくないし、しょっぱすぎても甘過ぎてもよくないから、それをいつも…
でも、やってればやるほど上手くなっていくじゃないですか?
同じものをずっと何年も続けてたら、じゃあボンゴレ作る、えと、鯖の味噌煮を作るとかさ、なんでもいいから作るときに、タイミングを見逃さないのはずっと集中してるからだと思うんですよね。
集中してなくてちょっと本読んだり、ちょっと携帯見ちゃったりしたら焦げちゃったり!
愛が足りないってことじゃん?だからやっぱりそれはそれでやると音楽と同じで。リズムですね。

イタリア行っても、ロンドン行っても、
パリ行っても、ずっとセッション見つけてお友達になって

-では少し脱線?して…ライブ前にすることってありますか?
ライブ前?ストレッチとか、筋トレとか。
で、2時間前には食べない。
じゃないと簡単な曲でもぼーっとしちゃうから(笑)
-お腹いっぱいになっちゃうとやっぱり?
そう!(笑)もう気持ちよくて(笑)
特に気持ちいい音楽演ってると眠くなりますね、俺は。
よくニューヨークでもミュージカルとオペラとかクラシカルなライブ観に行ったりとかすると、心地よくて、気持ちよくて寝ちゃうんですよ(笑)
なんだかすごいエキサイティングな音楽がガンガンだと寝ないんだけど、「ああ美しい」とか「ああ気持ちいい」とかなるとやっぱり眠たくなるから、よくお友達がこの前ライブ演ってて、
彼が「このお客さんが毎回来て毎回寝るんだよ」っていう話になって(笑)だから「仕事で疲れてるんじゃないですか?」って言ったら「でもね、遅い曲になったら寝るから」って言うから
「ああ、じゃあたぶん気持ちいいんですよ。気持ちいいから心地よくなって寝ちゃうんじゃないですか?」ってことがありましたね(笑)
-わかります。リラクゼーションサロンとかで流れる曲もそうですもんね。
そうだよね。リラックスできるもんね。そのパワーがあるっていうのは音楽ってすごいと思う。
あとはやっぱりよく映画も毎週10本くらい観てるんだけどね。
レンタルしたり、観に行ったり…音楽もよく観に行きますし。
で、空いてる時間は、休みの日とかはやっぱりセッションに行くね。
カツ(後藤克臣氏)がここでやってるから…あ、じゃあ一緒に演って、じゃあOK弾いてよって。そういう人いっぱいいるから、世の中に。
ヨーロッパ行っても、イタリア行っても、ロンドン行っても、パリ行っても、ずっとセッション見つけてそういう人たちと触れ合ってお友達になって、繋がるっていうことをいつもやってます。
-初めて会った方とでも??
もう全然!初心者プロ関係なく。
-じゃあ、JINOさんとバッタリ会うこともあるかもしれない?
あると思う!もうしょっちゅう!
昨日も飛行機乗った時に「ええ~!10年ぶり!元気?」って!(笑)
もういっぱいいる!
-じゃあファンの方とも?
ファンの方も音楽の人ももう全然関係なく。
-ファンの方からしたら、もう「うわぁ~?」となりますよね。
なる人もいるよね。ほんとに。
やっぱベース弾いてる子とか、あとずっと遠くから見てくれて、いろんなアーティストの仕事観てきてくれて、ライブいっぱい観てくれて、遠いとこで観てるから、みんな「もっとステージでは背が高いと思った」って(笑)
「これくらいなんですね」って言うから「170cmなんですよ~」って(笑)
-170でも十分ですけど、海外だとね。
そう、オランダに住んでて、みんな平均180だから、バンドやってる時こんなでっかいブーツ履けって言われて(笑)
で、日本に彼達を一回連れてきたんですよ。ヨーロッパでやってるバンドを。そしたら「お前そんなに背が小さくないな」って日本だから(笑)

全部言いたいことは「愛」ですよ。
もっともっと大きい考えで、
大きいオープンマインド、オープンハートじゃないと

-では、最後にこれだけは伝えたいことをお願いします
人間って音楽のおかげでいろんなこと学んで、そのなかで一番いいのは
「何やっても心からやること」これが一番人間に伝わることだと思います。
いくら上手くても速くても関係なく、心から演ってる人は一番尊敬する。
で、一番嫌なのは、嘘とか言い訳。音楽でも。
だからできるだけ「間違えた」って言われたら「はい、間違えました。ここちゃんとやります」って自分から自分の悪いところも言える人。そういう人たちがどんどんどんどん伸びていくスピードが速いのかもしれない。
でもそこで自分は…何て言うの?
こう言い訳言ったり…その、ダークサイド!(笑)
そういう人は僕の周りには一人もいません。切っちゃうから。もう親戚でも関係なく、ストレスを与える人、そういう人は切っちゃうから、音楽がダメになっちゃうから。
音楽家だから、それを一番優先してるから。(笑)
それとやっぱり、家族を大事にする。自分の家族、自分の子供達とか、自分の奥さんとか。それを何しろもう、守ってやること。
だからそれやっぱり全部言いたいことは「愛」ですよ。
愛があればほんと必要ないんだよね。自分でもちょっと自信がないとか、ちょっと羨ましいとかそういうのを全部削っていってます。毎年。
で、もっともっと大きい考えで、大きいオープンマインド、オープンハートじゃないと、絶対に音楽に生き残れない。ここだと思うんですよ。
そしたら欲しいもの全部手に入りますから。
そこが一番みんなに伝えたいことです。
-素敵なお話をありがとうございました!!
ありがとうございました。