アコースティック・ギターをチューニングするとギターに掛かる負担は、ナント!70~80kgにもなると言われています。要するに大人の男性一人がネックにぶら下がっているくらいの負担です…。
この状態をずっと続けていると、特にネックとブリッジ付近に負担が掛かり、ネックの反りやトップ板が膨らむ原因になってしまいます。
特に新しいギターは木材が動き易く、日本の様に夏は高温多湿で冬場は乾燥が厳しい環境ではギターに掛かる負担はとても大きく、弦を緩めることで少しでもギターからストレスを取り除いてあげたいものです。
張りっぱなしでもコンディションを維持しているギターがあるという話も聞き実際に存在しますが、これは稀なケースで「基本的には緩めたほうが良い」と言う考え方に間違いはないと思います。
アコースティックギターは板の裏に補強板(これをブレイシングと呼びます)があるとはいえ、基本的にはとても薄い木の板でできています。特に多くの高級アコースティックギターは1枚板(いわゆる単板)でボディが作られており、温度や、湿度の変化で板が縮んだり膨らんだりします。
冬場の日本はアコギから見て「乾燥していて寒い」といった状況になっていることがほとんどです。外はもちろん家の中でも「寒さ」からは逃れられても「乾燥」からはなかなか逃れることができません。(現実的にヒーターなども使うわけですし)加湿器などで部屋全体の湿度をコントロー ルできれば良いのですが、エアコンの風などは思った以上に渇いていて加湿器を使っても木製の楽器にとって良いとされる湿度50%程度を保つのは難しいものです。
乾燥や寒さによって木材が縮んでしまった場合、トップ板がへこんだ様な状態になってまともな音が出なくなったり、ネックが逆反りを起こしひどいビリつきの原因となります。最悪の場合、板割れなどの重大なトラブルが起きてしまうことも考えられます。
こんなことが起こらないようにオススメする冬場の保管方法ですが、弦を緩め、ケースにしまったら写真の「ギターブレス」のような「直接水を補給するタイプ」の湿度調整材を使います。このタイプは非常に便利で、水分をたっぷり含む素材でできているので週に1回か2回くらい水を補給してあげるだけであとははめておくだけです。
この状態でケースのふたを閉じれば「たとえ部屋が乾燥しててもケースの中だけはしっとり」状態の完成です。
さらにケースにしまっておけば明け方などの非常に寒くなる時間帯もギターが直接冷えることを避けられます。
最初はちょっとめんどうですが、慣れればなんてこた無いですし、板割れの修理のほうが よっぽどめんどうですよ!!
しょっちゅうじゃなくて良いのですが、指板とブリッジにオレンジオイルを塗ってあげると楽器に優しいです。
指板とブリッジには主に「ローズウッド」か「エボニー」という木材が使われているのですが、特にエボニーはとても硬い素材なので乾燥し過ぎるとヒビ割れを起こすことがあります。
これを防ぐために2、3カ月に一回くらい弦交換のついでにでもオレンジオイルを塗ってあげると良いと思います。あんまりたくさん塗りすぎると逆に指板が歪んでしまうことがありますので、ティッシュにオイルを取り、さっと塗ってあげるくらいで十分です。
オイルを塗ると光沢が出て綺麗になるので見た目も格好良くなりますよ!